2021年 中学英語教科書改訂 どう変わった?

2020年12月のブログに書いたとおり、2021年4月から使われる中学英語教科書は難易度が半端なく上がっています。

まず、中学卒業までに学習する語彙数が2200~2500語となり、これまでの約2倍になりました。

また、仮定法など高校で学習していた文法の一部も中学校に前倒しになりました。

さらに、コミュニケーション活動として、会話と、プレゼンテーションが入ってきます。

詳しくは2020年12月1日のブログをごらんください↓
2021年度から中学校の英語教科書が大幅改訂

春日市、大野城市の公立中学の改訂教科書を手に取ってみた

改定された教科書を実際に手に取ってみました。

まず、中1の第1単元の本文を、2020年度までの旧教科書(New Crown 1)と2021年度からの新教科書(New Horizon 1)を比べてみましょう。左福岡県春日市や大野城市の公立中学校で使われていた旧教科書で、右が改訂された新教科書です。
(※市町村によってどの出版社の教科書が使われるか異なります。)

英語 中学
2020年度までの中1教科書
中学 改訂英語教科書
2021年度からの中1英語教科書

小学校で習ったことは、ほぼ理解しているという前提・・・

新旧教科書を比べると、第1単元の本文の文字数はほぼ同じですが、文法に関しては、旧教科書ではbe動詞のみ導入だったのが、改訂教科書ではbe動詞と一般動詞が同時に出てきています。

つまり、小学校ですでにbe動詞も一般動詞も習っているということで復習扱いになっており、以前のように丁寧な導入はないということです。

be動詞は ”I’m Margaret Brown.”のように最初から短縮形で入ってきています。like, love といった単語については、当然知っているものとして進出単語欄には載っていません。

文章の内容は、be動詞にこだわらずに作成されているので、自然な流れになっています。

音声面では?

音声面では、改訂された教科書にはQRコードを読み込めば、単語や本文の音声が聴けるようになりました。CDなしで音声が聴けるようになったのは改善点でしょう。(携帯やタブレットの利用状況は各家庭で違いますが。)

読み上げの速度は以前より速くなっています。第1単元の本文の読み上げ速度を1分間の語数で測って比較すると、68語 ⇒ 86語と約20パーセント上がってました。

3学期に学習する新教科書のUnit 10 の本文でも読み上げ速度を測ったところ1分間120語でした。ナチュラルスピードに近づくことを意識して作られていると思います。

中1に新しく追加された文法事項

◆中2から中1に前倒しになった文法事項

不定詞の名詞的用法 
例文)I want to win the game.

動名詞 like ~ing
例文)I like dancing.

be動詞の過去形
例文)I was really tired yesterday.

過去進行形
例文)I was watching TV at 9:30 last night.

 

look + 形容詞
例文)The children look happy.

There is ~, There are の構文
例文)There is a park near my house.


◆高1から前倒しになった文法事項
●感嘆文
例文)How nice!
      What a cute bag!

 語彙、文章量の増加

小学校で習った600語プラス中1で新しく習う語彙があるので、当然、語彙数は増えます。すべて数えたわけではないですが、これまでの2,3割は増えています。1年生からdifficult, performのような長いスペルの単語も入ってきます。単語はアルファベットや語呂合わせで覚えるのではなく、小学生のうちにフォニックス(音とスペルの関係)を学習して音から単語を書けるようになっていないと覚えきれる量ではないでしょう。

文章量も、増えてます。出版社の違いかもしれませんが、1つの本文に使われている語数は2学期あたりから約2倍になっています。

中学生 英語 旧教科書
旧教科書 Lesson 6 本文
中学英語 改訂教科書
改訂教科書 Unit 6 本文

スピーキング活動

中学 改定教科書

スピーキング活動は、会話発表の2領域に分かれており、ペアなどでの会話練習と、個人発表があります。

中1の改訂教科書では、学校見学に来た小学6年生に、中学1年間の思い出について発表するという設定でスピーチをするという課題が載っています。

小学校卒業までにつけておきたい英語の基礎力

情報としては教科書改訂で英語が難しくなることは知っていましたが、実際に1年生の新教科書を見て予想以上に英語のレベルが上がっているのを改めて感じました。

英語の質が上がっていることは喜ばしいですが、授業数は変わらないことを考えると、授業が進むスピードはこれまでよりかなり上がるでしょう。小学校の時に習ったことを理解できていないと、授業についていくのは大変です。

スピーチ活動も後半に入っているので、文法指導に割ける時間は減ることが予想されます。

小学生のうちに、次のことまではきちんと理解して身についていることが望ましいです。

  • 英語の基本的な音が聴きとれ、発声できる。
  • 簡単な会話のやりとりができる。
  • 基本的な語彙の読み書きができる。(英検5級程度)
  • 文法(Be動詞、一般動詞の現在形、can)が理解できて使える。

 

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